。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。



マイペースで、話が通じなくて無神経で。


とにかくあたしの中でなし。


―――だけど




一々気になるヤツ。


「チャンスじゃない?あたしのこと知りたがってるんでしょ?そっちは」


あたしは挑発するように笑いかけると、響輔は無表情のまま顔をこちらに向けてちょっとだけ目を細めた。


「な、何よ」


思わず身を引くと、ずいと、それを追いかけるようの響輔が顔を寄せてくる。


すぐ間近に接近した響輔の肌は、男のくせにきめこまやかでさらりと触り心地が良さそうだった。


黒い瞳でじっと見つめられ、あたしは思わず声を上げた。


「ちょ、ちょっと!何なのよ!」


「いや。こうやって見ると幽霊っぽく見えへんなって」


「幽霊??」


素っ頓狂な声で答えて、それでもすぐに合点がいった。


ああ、こないだ朔羅を脅かしたときに……


本当は青龍会本部で鴇田を待ち伏せていた。“死体ごっこ”でちょっと驚かせてやろうかと待ち構えていたのに、現れたのは予想に反して龍崎会長と―――朔羅だった。


あの子は面白いほど怖がってくれて、何事にも動じない鴇田を脅すよりも愉快だった。


「こないだ会うたときは夜やったし、あんたの顔はっきり見えんかったけど、普通っぽいな」


普通――――…


「何よそれ!あたしはモデルで女優なのよ!!」


毎日時間をかけてお手入れしてる体と顔。


きれいに着飾って街を歩けば、男たちがそわそわしながら振り返るこのあたしが―――



普通ですってーーー!!?