ミルクティー色のふわふわしたクマちゃん。
あたしはぬいぐるみなんて持ってないし、好きでもない。
ただ見れば可愛いと思うけど……
だからさっき響輔のボストンバッグで揺れてるテディを見たときは素直に「可愛い」と口に出ただけ。
ほんの一瞬だけ、素直になっただけ。
てか、何でこのタイミング??
だけど可愛くないあたしがすぐに顔を戻す。
「あ、あたしこんなの好きじゃないし。ってか妹のもらい物もらっても嬉しくないし。ってか妹のお土産をほかの女にあげるってどうゆう神経…」
言い終わらないうちにあたしは響輔を見ると、響輔は腕を組んで目を閉じていた。
「聞こうよ!人の話を!!」相変わらずマイペース男だわね!
「聞いてるて。で?」
響輔は迷惑そうに目をこじあけて、またもあたしを半目で見てきた。
「あ、あんたの好きな朔羅にでもあげたら?あの子こうゆうの喜びそうじゃん」
またも可愛くない、素直じゃないあたしが減らず口をたたく。
響輔はさすがにムッと表情をしかめるかと思いきや、
「なるほど。そっちの方がええかも。このクマ、可愛がってもらえるしな」
そう言ってテディをあたしの手から引き抜こうとした。
こ、この無神経男ーーー!!!
あたしはぎゅっとテディに力を入れた。
離すまいとして握り締めると、響輔が怪訝な顔で眉をしかめる。
「なんや」
「やっぱヤダ。あたしがもらったんだもん。もうあたしのものだよ」
ぎゅっとテディを握ると、響輔はあっさりと手を離した。
「我儘な女やな」
ええ、そうですとも!あたしは分けわからん女で我儘な女ですよ!



