あたしの叫び声に、戒はちょっと不機嫌そうに眉を寄せ、あたしを睨んだ。


「………何だよ」ドスを含ませたその声には年季と迫力を感じる。


だけど、あたしの両手に重ねた手はそのままだ。


どうやら起き上がるのは無理らしい。


布団に貼り付けにされたまま、あたしは戒を見上げた。


ドキドキしながら恐る恐る口を開く。


「…あ、あのさ。もう夜遅いし……」


「夜ヤらねぇで、いつヤるってんだよ」


またも不機嫌そうに眉間に皺を寄せたが、はっと目を開いた。


てかヤるとか、ストレートに言うなよ!!


戒は迫力と男の色気を湛えたその表情を拭い去ると、急に柔らかく笑った。


にこっ





「朔羅さんはこっちの僕が好きだった?」




ふ、ふいうち~~~~!!!


そ、そんな可愛い顔で、可愛い声……メガネの頃の戒を思い出して、ドギュンと心臓が変な音を立てた。


あたしはこのヒツジちゃんみたいな戒も結構好き。


…………


「じゃなくて!!」


「じゃ、何だよ」


戒は不服そうにまた声を低めて睨んでくる。


このっ!!ヒツジの皮を被ったオオカミがぁ!!!




ってか、相変わらず二重人格~~~!!!!