。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。




そんなやりとりをしていると、戒がドリンクを運んできてくれた。


「アイスティー♪と、


ホットコーヒーでございます」


戒はあたしの前にアイスティーのグラスを丁寧に置いてくれて、鴇田の前にガシャン!と乱暴にコーヒーのカップを置いた。


カップから中身がこぼれて、鴇田の膝の上に飛び跳ねたみたい。


「熱っ!てめぇもっと丁寧に置け!」


鴇田が立ち上がり戒の胸倉を乱暴に掴むと、戒も負けじと鴇田の胸倉を掴む。


「お前が朔羅や響輔にしたことに比べりゃ大したことねぇだろ?」


とこっちも戦闘態勢。


大勢の客の前だってのに、素を隠そうともしねぇ。


戒のピリピリとした殺気が、刺すように伝わってくる。


それぐらい戒が怒っていることは確かだった。


だけど場が悪すぎる。


再び周りがざわついて、あたしたちに注目し始めた。


「ちょ、ちょっと戒!とりあえず落ち着こうよ。な」


慌てて、睨み合ってる戒と鴇田を引き剥がそうとして戒の手を止める。


鴇田が挑発するように薄く笑い、乱暴に戒の胸倉から手を離した。


「まだガキだな。“客”に向かってすぐ拳を向けるなよ」


「あんたが客?ふざけんじゃねぇよ」


吐き捨てるように言って、戒はその細腕一本で鴇田の襟元をぐいと掴み上げる。


周りがざわついて、ひそひそと喋り出す。


あたしが周りを見渡すと、みんなあからさまに視線を逸らした。


「戒…どうしたんだよ、お前らしくない」


あたしが困ったように戒を見上げたときだった。


騒ぎを聞きつけて、血相を変えておネエ店長が走ってきた。


「龍崎くん!!お客さまに何てこと!離しなさい!!」


おネエ店長に両肩を掴まれて、ちっ、と戒が舌打ちし、そこでようやく鴇田の襟元から手を離した戒。