深々と頭を下げる鴇田に、あたしの方が面食らった。
今度会ったら、只じゃおかないからなっ!!て意気込んでたけど、正直拍子抜け。
こうまで素直に謝られるとは…
「これはお詫びの印です」
なんて鴇田は紙袋をずいとテーブルに差し出した。
「何だよ。食いもんには釣られねぇぞ」
とちょっと睨むと、鴇田は苦笑を漏らした。
「残念ながら食いもんじゃないです。でもお嬢は気に入るかと」
何だよ…あたしが好きそうなもんって…
と、恐る恐る紙袋を開けると―――
淡いピンク色をしたうさぎのぬいぐるみだった。
黒い大きなおめめに、睫が飛び出ていて、しかも長い耳の付け根に花輪がくっついていた。
「わぁ♪」可愛い♪
思わず声を上げると、鴇田は満足そうにふっと喉の奥で笑った。
慌てて咳払いをして、あたしはそっぽを向いた。
「もしかして、これお前が買ったの?」
「まさか。それは大狼からです」
タイガ…
『うさぎちゃ~~~ん♪♪』
紙袋のちょっと開いた口からハートがいっぱい飛び出てきそうで、あたしは慌ててうさぎを仕舞いいれた。
「あの変態野郎のからなら、尚更いらねぇ」盗聴器でも入っていそうだ。
なんてずいと返すと、
「ご心配なく。盗聴器などの類は仕込まれていませんでしたので」
と、鴇田はさらりと言う。
あいつ……自分の組の組長にまで信用されてないのかよ…



