。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。



そんなやり取りをして何とか着替えると、鴇田が窓際のテーブルで長い脚を組みぼんやりと外を眺めていた。


く…敵ながらキマってやがる!


と、若干怯みつつも、


「待たせたな」あたしは鴇田の向かい側に腰を降ろした。


すぐに戒がオーダーを取りに来て、


「ご注文はお決まりですか?♪」


なんて声だけ聞いてりゃ、そりゃ天使みてぇな声なのに、その顔はまるで般若のように怒っていた。


こわっ!!


鴇田はホットコーヒーを、あたしはアイスティーを頼んで、戒が睨みを効かせながらもしぶしぶ引っ込んでいった。


「てかお前謹慎中じゃなかったのかよ」


と鴇田を睨むと、


「まだ謹慎中ですが、別にお茶をしに出かけるぐらいはいいでしょう?」


と鴇田の淡々とした答えが返ってくる。


「叔父貴にちくってやる」


と言うと、こいつはまたも怯まずにちょっと淡い笑みさえ浮かべていた。


う゛……あたしが叔父貴を避けている状況…こいつは分かってる…


だめだ。こいつに何をいってもダメージを与えることができない。


あたしは諦めて吐息をついた。


鴇田の左手がちらりと視界に入り、薬指には包帯が巻いてあった。


「手……まだ治らないのかよ」


腕を組んでぞんざいに聞くと、鴇田ははじめて苦笑を漏らした。


「ええ。あと一週間はこのままですね。ご心配ありがとうございます」


「別に……心配したわけじゃない」




「そうですか。それでもありがとうございます。



そして、この間は大変ご無礼なことをして申し訳ございませんでした」