あたしが辺りを見渡すと、客たちが慌てて目を逸らす。気になってはいるだろうがみんな厄介ごとに巻き込まれたくないのか、それぞれ会話を再開させた。
正直、鴇田と二人で話すことなんてあまりないし、できればしたくないケド、
だけどちょっと気になってたこともあったし…
「分かったよ。でもここでだぜ?」と渋々頷いた。
「朔羅」
と戒が心配そうにあたしの顔を覗き込んできたが、
「大丈夫だって。こんなに人も居ることだし、
お前も近くに居る―――」
ちょっと笑いかけると、戒も渋々と言った感じで頷いた。
―――
スタッフルームで着替えをしようとして、ロッカーを開けると着てきた私服がハンガーに掛かっていた。
今日でこのロッカーを使うのも最後かぁ。
あばよ。あたしの短いバイト生活…
とほほ。てな具合で、服をロッカーから取り出していると、
バンッ!!
「ちょっと朔羅ちゃん!」とおネエ店長が勢いよく扉を開けて、あたしはそれにびっくりした。
きた!!
あたしやっぱりクビーーー!!?
なんてびくびくしてたけど、
「ちょっとあの人誰!?あたしに紹介して!!」
おネエ店長は真剣な顔であたしの手を取ると、勢い込んできた。
え、ぇえ!!?



