バキィ!!
あたしは手にしていたトレーを真っ二つにへし折ると、
「てやんでぃ!!だ・れ・が!!こんなヤツをカレシにするってんだ!!こっちから願い下げだ!!」
思わず怒鳴って、四人組の男も…周りにいた客も、おネエ店長をはじめとする店員もびっくりしたようにこっちを注目して、
戒は「やりやがった…」とイタそうに額を押さえ、
鴇田だけは冷静に腕なんかを組んでいて、
や!やってしまったーーー!!!
あたしの顔からさーっと血の気が失せた。
「朔羅ちゃん…今日はもう上がっていいわ」
おネエ店長が額に青筋を浮かべて、無言でスタッフルームに促す。
「……ハイ」
あたしはうな垂れて、すごすごとスタッフルームに戻ろうとしたが、その腕を鴇田が掴んだ。
あたしが振り返ると、
「お嬢……お話が…」
と、鴇田がちょっと真剣そうにあたしを見据えてきた。
戒が怒ってるような、心配そうな顔で、今度こそ途中で立ち止まったりはせずにあたしと鴇田の間に割って入ってきた。
「話ってなんだよ」
戒がマジモードで睨みを効かせると、
「そう警戒するな。一言侘びを入れたかっただけだ。渡したいものもあるし」
とふん、と鼻を鳴らしてあっさりとあたしの腕から手を離す。
「お嬢、私と二人きりが心配ならここでどうですか?虎間の倅はまだバイトのようだし、ここは人も大勢居る」
そう言われて、あたしはあたりを見渡した。



