あたしは何故か戒に抱きしめられ、一緒の布団で眠ることになった。


か、戒の体温が!吐息がっ!!


戒の胸の中でドギマギしながらも、あたしはぎゅっと目を瞑る。


だけど…眠りは一向にやってこない。


戒は布団に入るなり、静かになかった。


寝てるのか起きてるのかも分からない。


「…か、戒……?」


恐る恐る声を掛けると、


「何?」と答えが返ってきた。


「あ。起きてたんだ」


「まぁね。お前がすぐ近くに居るってのに、そうやすやす寝れるかよ」


「おい…それって、あたしに寝首かかれると思ってるんかい!」


まぁ確かにさっきはバラそうと思ったけど。


でも


せっかくいい雰囲気だったのに…


少し怒ったものの、あたしはシュンとうな垂れた。


戒はあたしの頭をそっと手を置くと、まるで壊れ物を扱うようにそっとあたしの髪を梳いた。





「好きな女が目の前で寝てるのに、そう簡単に眠れるかよ」





明りを落とした静かな部屋で、戒の切なそうな声がゆらゆらと揺らいでいた。




「なんか、寝ちまったら、もったいない気がして」





ドキン…




あたしの心臓が大きく音を立てた。