戒が顎に手をやり、にやりと笑う。


「そんなに俺さまと一緒に居たいわけ?」


「だ、誰が!!これは、さっき押し入れに押し込められてるときに偶然っ!」





「俺は一緒に居たいけどな」






戒がふいうちに表情を緩める。


悲しいような寂しいような……複雑な微笑み。


穏やかな微笑みを浮かべているのを見ると、心臓がキュっと縮まる。


そんな……そんな笑顔、卑怯だよ。


あたしは前に一歩進み出た。






「今日は一緒に居る」





戒はびっくりしたように目を開ける。


「た、ただし!!変な気起こすなよ!今度こそぶっ殺してやるからな!」


「分かったって。俺だってタクさんの乱入でその気が失せたっつぅの」


ま、まぁそうだよな…


助かったのか、そうじゃないのか……



でもやっぱり助かったんだよな。