のろのろと押入れから這い出るところを、戒が手助けしてくれた。
「あ、ありがとよ…」
何だか妙に気恥ずかしくて、あたしたちは顔を合わせるとお互いにぷいっと顔を逸らした。
「別に。それよりお前、大声出すなよな」
「おめぇが引っ張り込んだんじゃねぇかよ!もぉ自分の部屋に行くっ」
ぷりぷり怒って、あたしは襖に手をかけた。
「待てよ」
戒が迫力のある声で、あたしの腕をパシっと取った。
「まだ何か?」
そんなにヤりたいのかよ…
若干うんざりしたように顔を戒に向ける。
誰だよ!
『男子高生は性欲よりも睡眠欲よりも、何よりも食欲が大部分を占め、何よりも勝る生き物!!』なんて豪語したのは!(←Dr.鴇田です)
こいつの中を締める割合は性欲65%食欲30%、あとは睡眠が5%ってとこじゃねぇか。(←計算良くできました♪)
戒は目を細めると、片眉を器用に吊り上げた。
「それ。
俺のコートだけど?」
「えっ?わぁ!!」
あたしはそう言われるまで戒のコートを握りしめていたことに気付いていなかった。



