。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。



のろのろと押入れから這い出るところを、戒が手助けしてくれた。


「あ、ありがとよ…」


何だか妙に気恥ずかしくて、あたしたちは顔を合わせるとお互いにぷいっと顔を逸らした。


「別に。それよりお前、大声出すなよな」


「おめぇが引っ張り込んだんじゃねぇかよ!もぉ自分の部屋に行くっ」


ぷりぷり怒って、あたしは襖に手をかけた。


「待てよ」


戒が迫力のある声で、あたしの腕をパシっと取った。


「まだ何か?」


そんなにヤりたいのかよ…


若干うんざりしたように顔を戒に向ける。


誰だよ!


『男子高生は性欲よりも睡眠欲よりも、何よりも食欲が大部分を占め、何よりも勝る生き物!!』なんて豪語したのは!(←Dr.鴇田です)


こいつの中を締める割合は性欲65%食欲30%、あとは睡眠が5%ってとこじゃねぇか。(←計算良くできました♪)


戒は目を細めると、片眉を器用に吊り上げた。




「それ。



俺のコートだけど?」




「えっ?わぁ!!」




あたしはそう言われるまで戒のコートを握りしめていたことに気付いていなかった。