「朔羅さんはみんなに慕われてますよね。僕も好きだな、彼女のこと―――」
戒の和らいだ声を聞いてあたしは慌てて涙を拭った。
「でもタクさんのことも好きですよ?男として」
………
ガタガタッ
派手な音がして、
「て、てめぇ何しやがんだっ!」
タクの喚き声…と言うか叫び声が聞こえた。
な、何したんだよ戒…
「すみません。あまりにもかっこよかったものでつい…」
「俺に触ンじゃねぇ!!!!」
叫び声をあげてタクがバタバタと去ってく足音が聞こえた。
戒―――ホントに何したんだよ……
想像…したくねぇな。
襖をパタンと閉める音がして、今度は押入れの襖が開いた。
「行ったぜ」
腕を組んで、首をちょっと傾けるふてぶてしい俺さま戒は
さっきのしおらしい戒とホントに同一人物か疑いたくなるぜ。
さすが二重人格!!



