見てはいけないものを見てしまった…
あたしはその扉をそぉっと締めると、キョウスケに気付かれないよう、後ずさりをした。
その背中に誰かとぶつかった。
「あ、すみませ……」
慌てて謝ると、ぶつかった相手…たぶん客だと思うけど、大学生ぐらいの男たち二人組みが最初はびっくりしたものの、すぐににやにや笑いを浮かべた。
「なぁに男子トイレ覗いてるの♪」
み、見られてた~!!
「い、いえ…ツレがトイレに行ったきり帰ってこなくて、心配で」
あたしが慌てて手を振る。
ホントのことだ。
でも男たちは顔を見合わせてにやりと笑っただけだった。
「ふぅん。そのツレさ、どっかきっと違う女とヨロシクやってるよ。だから俺らと楽しまない?」
と、一人が笑いかけてくる。
違う女と―――?
「バカ言ってんじゃねぇ!キョウスケはそんな野郎じゃねぇよ!!」
何だか無性に腹が立って、あたしはよそ行き顔じゃなく素で思わず怒鳴った。



