戒が歌本をめくっている横であたしも覗きこんだ。
「次何歌うの?」
すると戒はちょっと目だけを上げて、歌本を顔の高さまで引き上げた。
「何……?」
開いた歌本からはあたしたちの顔が隠れていて見えない。
何だろ…
そう考えてると、出し抜けに戒があたしにキスしてきた。
――――!!!!
声にならない声を上げると、戒が意味深に口の端を上げて笑った。片手に歌本を広げている。
幸いにもみんな選曲やらおしゃべりやらであたしらの方を見てるやつは誰も居なかった。
―――筈。
だけど
慌てて顔を離すと、戒を除く全員が全員あたしに集中していた。



