そんな不機嫌キョウスケに、リコが慌てて掛け寄ってく。
「あたしたちも一緒にデュエットしません?♪」
「び……くりしたぁ」とビビったように小さく口に出したのはキモ金髪野郎。
あたしだってびっくりしたもん。カタギのお前にゃ、ちょっと刺激が強すぎたか。
それにしても……リコって怖いもの知らず~
今でもにこにこキョウスケの隣に座って、タッチパネルリモコンを見せている。
それにはさすがのキョウスケも気持ちを穏やかにしたのか、さっきの怖いほどの迫力をしまいこんでいる。
「何だよ、ケチだよな」
と戒が不服そうに唇を尖らせていたが、こっちもあたしが心配するほど怒ってはいなさそうだった。
キョウスケのあの態度から戒がキレて、マジ喧嘩に発展するのを恐れていたけど、さすがにこの場じゃそれはないか。
「俺も姐さんとデュエットする♪」なんてキモ金髪野郎も言い出し、
「もうやらねぇよ」とあたしは呆れかえった。
千里は戒があたしから離れないことを諦めて、ぶすりとそっぽを向いている。
そんな千里に、
「ほら!千里も!!歌おうぜ~」なんて言ってキモ金髪野郎が千里を引き連れていった。
な、何か助かった??
やっぱキモ金髪野郎を連れてきてホント正解だったかも~
もしかして戒はこうなることを見越してて、キモ金髪を呼んだのかな。
……まさかね、さすがの戒もそこまで読めないだろう。
当の本人、戒は歌本を引き寄せてぱらぱらとめくっている。



