リコのグラスにオレンジ色の液体が注がれて、あたしは目をぱちぱち。
「リコのって何だっけ?おいしそう。オレンジジュースみたい」
「オレンジブロッサムですよ。ジンをオレンジジュースで割ったものです」とキョウスケが説明をくれた。
「へぇ…名前も可愛いな。何かジュースみたい。これぐらいならあたしもイケるかも」
「味見してみたら?気に入ったのならそれにすればいいじゃん」と千里。
すでに出来上がったオレンジブロッサムが手元に運ばれ、そうしよっかなぁなんて軽い気持ちでグラスを口につけようとしたら……
「お嬢はダメです」とキョウスケの手がグラスの口を塞いだ。
「え~??なんでぇ?」
「そうだよ。ちょっとぐらいいいじゃん」
不服顔のあたしと千里をキョウスケがぎろりと一睨み。
「ダメです」
あまりの迫力にあたしたちはビビって身を固まらせた。
普段怒らないヤツが、ちょっと睨み利かすと何でこんなにおっそろしいんだろ……
「ちょっと過保護過ぎじゃないですか?」
と千里がビビりながも気丈に答えた。
「何と思われようが結構です。でもダメなものはダメ」
キョウスケの低い声が聞こえて、千里もそれ以上は何も言わなかった。
それでも納得がいかないのか千里はちょっと不服顔。
「まぁあれだ…前に一回酔っ払ってこいつに迷惑掛けたことあるからさ。だからじゃない?」
とあたしは千里を宥め、どこか不機嫌を滲ませたしかめっ面のキョウスケとともに
あたしたちは部屋に帰った。



