「でも考えてみてください。可愛い顔が二人だけど、迫力もその倍」とキョウスケも添える。
「わ~何かにぎやかだけど大変そう」なんてリコが言って話題は変わりつつある。
ちょっとキョウスケ!迫力ってなんでぃ!!しかもリコ、大変そうって。
まぁ否めないけど。
でも………
みんなの優しさが痛いほど伝わってきて―――鼻の奥につんと嫌なものを感じた。
「あ、あたし!飲み物持ってくる!ここセルフだったよね。みんなは??」
慌てて立ち上がると、
「一人じゃ大変でしょうから俺も行きます」とキョウスケも立ち上がった。
「あ、あたしオレンジブロッサム♪」とリコがわざと明るい声で答え、
「俺も行く」と千里も立ち上がる。
「俺ビール♪」と戒はいつも通り。
ついでにキモ金髪の飲み物も聞いて、あたしはそれぞれのグラスを手に取り、キョウスケと千里とともに部屋をあとにした。
キョウスケも千里も何も言わない。
何も言わずあたしの後を大人しく着いてくる。
でも今は―――その沈黙が少しだけありがたい。
ドリンクのカウンターに行くまで、少しの間だけ感傷に浸らせて―――?
「えっと、ビールと…あれ?何だっけ?」
カウンターに居る店員のお兄さんにグラスを差し出してあたしは迷った。
「ビール二つに、オレンジブロッサム、それからラムコーク…お嬢と一ノ瀬くんは?」とすかさずキョウスケが言ってくれてあたしはほっとした。
「あたしはオレンジジュース」
「俺はウーロン茶」と言ってそれぞれグラスを差し出すときには、すっかり気分が元通りだった。



