喧嘩し合いながらも、パジャマパーティーは夜中の2時近くまで続いた。
キャンサーセンターのことは分かった。
戒がここに居て安全な理由も分かった。
だけど分からない部分もある。
叔父貴は何を企んでる―――……?
そして青龍会本部に向かうことも、とりあえずは保留。
何せ情報が少ない。
「もう少し情報を集めてから、再度案を練りましょう。それまでは大人しくしてて、向こうの出方を見るのが得策ですね」
キョウスケの言葉にあたしたちは一応は納得したものの、まだまだ謎の大部分はベールに包まれたまま。
「それじゃな、キョウスケ。おやすみ」
「おやすみなさい」
「おやすみ~♪響ちゃん♪」
と最後の最後に戒は何故か不敵で意味深な笑みを漏らしていたが、あたしたちはキョウスケの部屋の前で別れた。
あたしの部屋は一階の奥。戒の部屋の前を通らないと、辿りつけない。
「んじゃ、また明日な」
あたしは腕に抱いたマクラを抱えなおすと、戒に笑顔を向けた。
「もう日は超えてるし、今日だよ?」
出し抜けに、戒はメガネだった頃の優しい声音と、綿菓子みたいな笑顔を向けてきた。