「墓?」
戒が視線を鋭く尖らせて、あたしを見、そしてパソコンのモニターに視線を移した。
「うん。代々の青龍会、会長のお墓が奉ってあるんだ」
「へえ。またけったいなところにあるんだな」
「お前らのとこはどうなの?」
それが極道の…それも上の方の普通だと思ってたから、他がどうなのかちょっと気になる。
「俺らんところは普通の霊園だよな。まるまる一件」
戒がキョウスケの肩を叩く。
「ええ。だから俺も聞いたときは少し驚きましたね」
「霊園って言ってもな、山をまるまる一つ買い取って、そこが墓場になってるんだ。夜になると明り一つなくてな。富士の樹海より怖いらしい。出るって噂だよ。これが」
ドロドロドロ…そう効果音をつけて、戒が両手を折り曲げた。
「ギャーーー!」
そのあまりの迫力に、あたしの顔から血の気が失せた。
慌ててキョウスケの後ろに隠れると、こいつの袖をぎゅっと握った。
キョウスケは「やれやれ」ってな顔で振り向くと、ちょっと咎めるように戒を睨んだ。
「また戒さんは、そんなこと言ってお嬢を怖がらせて…」
「え?違うの?お化け出ないの?」
「出るわけないじゃないですか。普通の霊園ですよ。ちょっと森みたいになっていますが、山ではないです。それに明りだってちゃんとあるし、怖くないですよ」
「な、何でそんな嘘付くんだよ!!」
それでもあたしはキョウスケの後ろに隠れたまま、喚いた。
戒は「ふふん」と意味深に笑う。
「こんな冗談真に受けて、やっぱ朔羅は素直で可愛いな♪」