と言うものの、あたしは雷が大の苦手。G(ゴキブリのことね)の野郎の次に嫌いだ。
ちっちゃい頃に割りと近くに落雷があって、その稲妻をもろ目撃してしまってから怖くてしょうがない。
以来雷がなるとマサの部屋に避難するようになった。
ゴロゴロ…
案の定、遠くの方でくすぶった雷の音が響いてきた。
んゲ!
身を強張らせて雑誌を閉じると、あたしはすっと立ち上がった。
「雷が怖い」なんてこいつらには言い出せない。
キョウスケは普通に心配してきそうだけど、戒にはガキみたいだとバカにされそうだ。
「あ、あたし!もぉ眠くなっちゃった!!今日はこれで!!」
早口に言って部屋を出て行こうとすると、戒の腕…じゃなく脚が伸びてきた。
「どーしたんだよ?急に。さっきまであんなに元気だったじゃねぇか。それにまだ9時だぜ?」
疑り深い目であたしを見上げてくる。
「まぁまぁ。一日バイトもしてたし、疲れたんでしょう」とキョウスケが助け舟を出してくれる。
ゴロゴロ
雷の音が近くなってきている。おまけに窓の外が光りだした。
ヤバイ……は、早く、マサの部屋に逃げなきゃ……
―――そのときだった。
バリバリ!ドーーーーン!!!
もの凄い雷鳴が轟いて、一瞬目の前が白くなるほどの輝きを放ち、辺りが急に真っ暗になった。
「キャーーー!!!」