「でもさ、その叔父貴が知られちゃまずいって思ってるのってさ、例のキャンサーセンターのことじゃない?

あんたがあたしに伝えようとした途端、襲われたじゃん」


この話題はしばらく避けようと思ってた。


だけど、どうしてもこの言葉が今回の事件のキーワードになってる気がするんだ。


あたしはちょっと顎を引いて、顔色を窺うように戒とキョウスケを順に見た。


戒とキョウスケは同じタイミングで顔を合わせると、二人とも言い辛そうに表情を歪める。


やっぱり…あたしの勘は間違ってなかったようだ。


「教えてよ。それが何なのか」


二人は互いに目配せして大きく頷くと、戒の方が先にあたしの方を見た。


まっすぐな視線に、戒が正しいことを言ってくれるであろうことが分かった。


思わず姿勢を正す。


戒の少し薄めの形の良い色っぽい唇がゆっくりと開いた。





「キャンサーセンターとは、癌センターのことだ」