「俺の話は以上だ。お前は?何か質問とかあるか?」


聞かれてあたしは、はっとなった。


いや……いきなりすぎて、思考がぶっ飛びそうになるよ。質問どころじゃない。


「まぁ突然言われて戸惑うのは分かるが、お前は何も気にしなくていい」


叔父貴はあたしを安心させるためちょっと笑った。


そしてまたあの寂しそうな笑顔を浮かべると、僅かに首を傾けた。


「俺が……」言いかけて、鴇田の方を目配せする。


鴇田はそれが何かの合図だと思ったらしく、素直に立ち上がり、頭をちょっと下げると部屋を出て行った。



きちんと扉が閉まったのを確認すると、叔父貴はあたしを再び真正面から見据えてきた。









「俺がお前に残してやれるものは―――そんなものしかないからな。



ごめんな」








“ごめんな”







どうして謝るの―――?


それにあたし叔父貴が居てくれれば、他に何も要らないよ?


財産とか、地位とか―――


だって叔父貴はすでに戒と出会わせくれた。


もうそれだけで充分だよ。







だから







居なくなっちゃうみたいなこと―――言わないで。