叔父貴―――………


「や!そうは言ってもあたしはずっと叔父貴の家族だし!!大切なのは変わらないよ!」


あたしは慌てて身を乗り出すと、叔父貴がふっと笑った。


力ない―――笑顔だった。


娘のように、妹のように―――ときには恋人のように支えあってきたあたしの片割れ。


だけどあたしはその手から巣立って行こうとしている。


あたしも寂しいけど、叔父貴はもっともっと―――あたしよりずっと寂しいんだ……


あたしには戒が居るけど、


叔父貴には―――?



「お、叔父貴はさぁ。け、結婚とかしないの??」


ふと疑問に思って聞いてみた。


恋人と呼べる女の人が居ないのは何となくわかってたけど、この見てくれだし、怒ると怖いけどすっごく優しいし、金持ってるし……


その気になりゃ恋人なんてすぐできると思うんだけど。


叔父貴は目を細めてあたしを真正面からじっと見つめてきた。


優しいまなざしだけど―――やっぱりどこか影を含んでいる。




「天にあっては比翼の鳥となり、地にあっては連理の枝とならん」


へ―――?何それ……


「“長恨歌”の中の有名な一節だ。お前は意味を知らなくていい。


ただ―――


歩く道は違っても―――


比翼の鳥とも、連理の枝とも呼べる生涯の心の伴侶はただ一人―――」






叔父貴の腕があたしの頬にそっと伸びてきた。