叔父貴と芸能プロダクションの繋がりなんて違和感。


たまに経済誌の雑誌社が叔父貴にインタビューしたいと会いに来ているけど、その手のものは全部断っているし、第一芸能とはまた種類が違う。


何で―――……?


特に深い意味合いはないのかもしれない。


モデルみたいにかっこいい叔父貴のことを、街でスカウトマンが目撃して名刺を渡していったかもしれないし、


会社のCMで起用する女優なり歌手なりを探してるのかもしれない。


だけどどうしてだろう。


やっぱりあたしは腑に落ちなくて、名刺をじっと見つめた。





遠くで足音がしてあたしは、はっとなった。


「誰だ!あんな悪戯をしやがったやつぁ!!」


予定より早いじゃねぇかよ!!


叔父貴の怒鳴り声が聞こえて、あたしは慌てて名刺をスカートのポケットにしまいいれ、名刺ケースも引き出しの中にしまう。


「申し訳ございません。すぐに清掃のものを呼びます」と秘書らしい女の人の焦った声も聞こえる。


すみません、二人とも。


心の中で小さく謝りながら、あたしは元居た場所に落ち着いて何でもない素振りで紅茶を飲んだ。


バタン!


ドアを勢いよく開ける派手な音がして叔父貴が姿を現し、あたしは反射的に背筋を正した。


「ど、どーしたの……?」


苛々とした面持ちで向かい側のソファにドサリと身を沈める叔父貴を見て、あたしは恐る恐る声を掛けてみた。