監視カメラ、床のセンサー。


大まかなセキュリティは知っていたけれど、この作戦を考えてくれたのは戒とキョウスケ。


トイレの面積と、水の量を緻密に計算して時間を割り出してくれた。


センサーがなるまでの時間。それを対処するまでの最短時間も。


叔父貴が席を外した今しかない!


あたしはどっしりとした会長机の引き出しを片っ端から開けて、中を探った。


几帳面な叔父貴らしく、書類やちょっとした文具はきっちりと整理されている。


何か…


何かあのイチって言う女に繋がるものは無いか!?


書類の束やファイル類を見ても、ぱっと見ただけでは(あたしだったらじっくり見ても)それが何か分からない。


人選をミスったんじゃないの!?


戒やキョウスケの方が良かったんじゃ…


なんて今更思いながらも、焦ってあたしはやたらと机の中をまさぐった。


一番上の引き出しをまさぐっているとき、勢い余ってあたしは名刺の入ったケースを落としてしまった。


バラバラッ!床に散らばった名刺を見て


あー!やっちまった!


慌てて名刺を拾い集めながら、ふと違和感を感じる。


名刺はどれも貰い物らしく、取引先の人の名前や肩書き会社の所在地なんかが書いてある。


でもちょっと変わったデザインの名刺ホルダーが机上に乗せてあるってのに、何でこんなところにも…?


疑問に思ったけど、拾い集める方が先決!


慌てて集めていると、一枚の名刺に目がいった。


それは





都内にある某有名“芸能プロダクション”の名刺だった。