「「「無事を祝ってかんぱ~い♪」」」
あたしたちはグラスを鳴らして、乾杯した。
あたしはもちろんウーロン茶。
だけど戒とキョウスケのグラスには、どこからくすねてきたのか、ビールが入ってる。
てめぇら、未成年だろっ!!
って突っ込みたくなるけど、こいつらにはまともな常識が通用しねぇ。
ゴクゴク…と戒がビールを飲み込む度に上下する喉仏が……
男らしいけどきれいな曲線を描いていて、目が離せない。
しかも!
第二ボタンまで開けられた襟元から骨ばった鎖骨や、胸に続く筋肉の線を描いていて……
じゅるっ…
涎が……ってあたしゃエロオヤジかい!!
いかんいかん。
あたしはそんなエロ戒から視線を逸らすと、話題も逸らした。
「そう言えばさぁ、結局注射器の中身はそう大したもんじゃなかっただろ?あいつらの目的って結局何だったんだろう」
「大したものでないわけじゃないです。ディプリバンは量を多く注入すると死に至らしめることのできる危険な麻酔薬ですよ」
死―――!!
スルメいかをもぐもぐと食いながら、相変わらず無表情なキョウスケは、淡々と口にした。
戒もそれほど驚いた様子はないようでのんびりビールのグラスに口をつけている。
ってかこいつら、危機感薄すぎじゃね??
「まぁ注射器の内容量から見て、致死量ではなかっただけで」
「ただ、身動きを封じ込めることはできる」
戒は腕を組んで、目を細めるとじっと壁の方を睨んだ。