戒―――………


戒は苦い笑みを漏らして、俯くとあたしから目をそらした。




「わり。昨日話し合いで決めたことだし、あの選択は一番利に適ってるはずなのに。


だけど……


心のどこかでやっぱり俺は不安なんだ」





戒があたしの手を握る手の力を少しだけ緩める。


あたしはなんだかそれが寂しくて、慌てて戒の手を握り返すと、戒はちょっと驚いたように顔を上げ目を開いた。



繋いだ指先は戒の気持ちを表しているようで、こいつの脆い部分がちょっとだけ伝わってくる。


いつも堂々として勝気で、俺様で……でもすっげぇ頼れて、いつでもあたしを支えてくれて


いつもまっすぐにあたしを想ってくれる。


そんな戒が大好きだよ。





だけどこんな風に気弱になってるところも―――可愛くて、あたしが守ってあげたくなる。


包んであげたくなる。


抱きしめてあげたくなる。





大好きだよ。だから心配しないで





あたしは小さく囁いて戒に顔をそっと近づけた。


自分から戒の唇にキスを落とす。


戒の柔らかい唇はさらりと心地よく、





爽やかな香りがした。