ぞくりと悪寒を感じて、あたしは両肩を抱いた。


雪斗はもう居ない―――


この世のどこにも……


遺体は叔父貴がどこかへ捨てに行った。だから青龍会本部の奥に位置する墓にも、奴の魂が眠っているわけではない。


それでもあたしはあの場所で


雪斗があたしを呼んでる気がしてならない。



呼んでるのはあたしか―――それとも叔父貴か……


それともあたしたち二人か。



どちらにしろあの場所が、今回戒が狙われたことと無関係だとは思えないんだ。



戒―――……


病院で狙われて以来、襲撃に遭ってはない。


今のところ…


それでも白虎の跡取り候補が、敵陣である青龍に居ること自体危険極まりない。


またいつ狙われるか……


あいつはそんな心配微塵も滲ませない。


ストレスで壊した胃もすっかり回復しているようだし。


それでも盃の話が具現化している今―――




白虎の戒を護れるのは―――





あたししか居ない!





たとえ叔父貴が何か企んでいようと、あたしが叔父貴に拳を向けようことがあっても戒を必ず護る!!