ケータイを持ったまま叔父貴は目を見開いている。


叔父貴にも見えてるってことは…幽霊とかの類じゃないんだな。


あたしの肩から女の腕がするりと抜けた。


幽霊じゃなかったらこっちのもんだ。


あたしは思い切り振り返り、御簾を捲り上げると女はびっくりしたようにその場にしりもちをついた。


庭から差し込む明るい陽の光で、女の姿が露になる。




御簾の向こう側の畳に、崩れるようにして手をついていたのは


美女とも呼べる女だった。


女はびっくりしたように目を開いたが、すぐに表情をなくした。



白い着物に同じだけ白い肌…いや、よく見たら着物は真っ白ではなく、銀の刺繍で鳥のような生き物が描いてあり、藤色の帯をしている。


そして長いハチミツ色をした髪が胸の前で揺れていた。


猫のように少し釣りあがった形の良い大きな目に、すっと通った鼻。白い肌に赤い口紅。


ちゃんと足もあるし、足袋もはいている。





この女……