この小さな庭の奥に墓石が並んでいた。


その一つにあたしの父さんと母さんが眠っている。


“青龍会三代目之墓”と書かれた墓石が一つ。他の墓石に比べてまだ新しい墓石は直線的なデザインで薄い灰色をしていて、すべすべしていそうだった。


叔父貴はその前にしゃがみこむと、立て膝を着いた。


百合の花束を墓石の前にそっと手向ける。


あたしも慌てて叔父貴の元へ走っていくと、同じようにしてしゃがみこんだ。


手を合わせて、ゆっくりと目を閉じた。




「父さん、母さん。久しぶりだね。


朔羅は元気だよ。叔父貴も、組のみんなも優しいし、仲良くしてるよ。


友達もいっぱい居るし―――





すごく大切な人も出来た。



朔羅は今―――すごく幸せだよ。





だから安心して、見守っていてね」





墓石に向かって、あたしはそっと囁いた。





今度はあたしの大切な人を連れてくる。


だからそのときまで―――





待ってて。





そう心の中で続けると、墓石の向こう側で……父さんと母さんがにっこり微笑んでくれた―――ように見えた……