。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。



「お待たせいたしました」


そう言ってケーキの皿とアイスコーヒーのグラスをテーブルに並べる。


その様子を物珍しそうに叔父貴がじっと見つめてきた。


き、緊張する……


皿を持つ指が僅かに震えて、あたしは皿をテーブルに置くと慌てて手を引っ込めようとした。


だけどその手を叔父貴が掴んだ。


強引じゃないけれど、力強い…大きな手。


ドキリ…と心臓が跳ねる。


サングラスを外した、叔父貴の切れ長の黒曜石のような瞳がじっとあたしを捉え、その目に吸い込まれそうだった。


「な、なんでしょうか!」


あたしの声はみっともなくひっくり返った。


叔父貴はふっと涼しく笑うと、あたしの手を掴んだままちょっとあたしの体を引き寄せた。


「今日俺はオフなんだ。お前はバイトいつ上がれる?」


低く囁かれて、あたしの体にぞくぞくっと何かが走る。


叔父貴の声は戒とは違った甘い色を滲ませていて、聞くものみんなを金縛りに合わせるような威力を持っている。


「え…えっと。今日は三時まで…」


「そっか。その後、都合はいいか?」


「え…うん。何もないけど」


まっすぐ帰って家で寝るだけ。戒は19時まで仕事だけど。







「なら少し付き合えよ。青龍会本部―――百合香の墓参りをしよう」