だけどそんな戒のあからさまな牽制にも、叔父貴はまったく怯まず顎に手を当て
「お前のお勧めは?」なんて余裕で聞いている。
「今日のお勧めはイチゴとピーチの生クリームたっぷりタルトです♪」
と戒もにこにこ。
え??お勧めはカフェオレゼリーだったはずなのに。
「じゃ、それを貰おう。アイスコーヒーもつけてくれ」
「はい♪喜んで~」
戒はよそ行きの声でにこにこ答えて、叔父貴がテーブルに向かっていくのをきっちり見届けると、フフンと不敵に笑った。
「俺のささやかなイヤガラセだ。生クリームたっぷりサービスしてやろうぜ♪」
ああ、そゆうことね。
「効かないと思うぜ?叔父貴ああ見えて甘いのとかも結構イケるし。あの顔でプリンとか大好きなんだぜ?」
言ってて笑えてきた。叔父貴とプリン…不釣合い過ぎて笑えるぜ。
「なに!?プリンが!!」
戒はくわっと目を開いて、あたしを覗き込んできた。
な、何だよ……
「そっか…あいつもプリンが……。ってか、なめらかプリンは何であんなにうまいんだろうな?あれ考案したやつマジで凄くね?神の域だよな」
知るかよ。勝手に語ってろ。
と、どこか物憂げにしんみりして言う戒を呆れたように見て、あたしはさっさとショーケースからタルトを取り出した。
最近スイーツ好きの男子って多いよな。叔父貴は好きって程じゃないと思うケド。
千里もケーキとかパフェとか昔から大好きだったもんな…
考えてはっ!となった。
千里……どぉしよ…
「はい、アイスコーヒーよ♪よろしくね」とオネエ店長がカウンターの向こう側からあたしを呼んでいた。
とりあえずは今は叔父貴だ!叔父貴になんて言お~~~(泣)
まだぶつぶつ言っている戒を取り残し、あたしは慌てて叔父貴の元へケーキとコーヒーを運びに行った。



