だけど、鴇田と言い合いしていたあの女…どこかで見たことある気がするんだけどなぁ。
でもどこで見たのか思い出せない。
それによく考えたら叔父貴は間違いなくノンケだ。だからそっちに走る心配はないと思うケド…
そんなことを考えてると、
「朔羅。隠れんぼのつもりか?」
と叔父貴のセクシーボイスが頭上から振ってきた。
戒は「だから最初から無理だって」と言いたげに半目であたしを見下ろしている。
恐る恐るトレーを退けて、顔を上げるとカウンターに両肘をついてこっちを覗き込んでいるにこにこした叔父貴とばっちり目が合っちまった。
ば、バレた―――!!!
でもバレたらしょうがねぇ。わたしはおずおずと立ち上がった。
叔父貴は怒ってる様子はなさそうだった。機嫌が悪そうでもない。
何でバレたんだろ。まさか戒が!?
あたしは隣に立っている戒を睨み上げたが、
「俺は何も言ってねぇよ」と冷たい。
「マサから聞いたぞ。ここでバイトしてるって」
マ、マサの野郎か!あいつ、ちくりやがったな!
ぎりぎりと奥歯を鳴らしていると、叔父貴はまたも余裕のある笑みをもらした。
「制服、似合ってるじゃねぇか」
「え…うん。ありがと…」
何だか照れくさくてあたしは顔を赤らめて俯いた。
ズイ!
そんなあたしを押しのけると、戒があたしの前に立ちはだかる。
「ご注文は何になさいます?」
にこにこ笑顔を浮かべてるも、その爽やかな笑顔の裏に言い知れない苛立ちと怒りが込められていた。
戦闘態勢丸出し。威嚇しまくりの戒。
怖い……



