恋わずらい



考えると考えるだけ虚しくなった。

もう帰ろ…。
帰ってゆっくり寝よう。


そう思って
歩幅を大きくして歩き始めた瞬間だった。





あたしの右手から
葵先輩に借りた傘が
パシャっと音を立てて滑り落ちる。


誰かに腕を捕まれた。




『…葵』