恋わずらい



…ああ、なるほど。

お迎えってそういうことか。


『彼氏さんですか?
他校の制服ですよね?』

『…あはは。まあ、ね。
それじゃあね、樹里!』


手を振る葵先輩が一本だけ傘をさす
『彼氏』のところへ走っていく。

黒く大きな傘に、
華奢な葵先輩と長身な彼氏が
ちょうどすっぽりと入っている。


二人の姿が見えなくなってから、
仕方なくガラでもない傘をさして
あたしも歩き出した。