「……」
「そんな顔をするな」
「デートって、言った」
「デートだろ?」

静かな図書室。私と井口の他には誰もいない。
で、目の前の大きなデスクの上に、たくさんのプリントの山。

「これ、デートって言わない! 先生のお手伝いとかっていう!」
「静かにしろ、図書室だぞ」
「ごめんなさい」
「素直でよろしい」

一番はじのプリントを見ると、一年生用の数学問題集であることが分かる。

「うちの学年のですらないし……」
「ほら、手が止まってるぞ」
「はいはい」
「はいは一回」
「はーい」

深く大きくこれ見よがしにため息をついて、端から一枚ずつ重ねていく。井口は、それを受け取って、ホチキスで留める。