無言でいつになく優しく抱き締める神崎に、私はもうドキドキでいっぱいいっぱいだった。



「あ、あのさ…」


もう離してと、そう言おうとした私の言葉は神崎のこの言葉によって遮られた。




「もしも…

今日お前にそれを言ったとしても、それは嘘になるだろう」




…だから今日は言いたくない。


そう言って神崎は私を抱き締める腕の力を微かに強めた。




ああもう、

こんなの卑怯だ。






「じゃ、じゃあさ

明日…明日なら言ってくれる?」


「……ああ」






その返事は相変わらずそっけなかったけれど、その一言だけで私には十分だった…。