無言でいつになく優しく抱き締める神崎に、私はもうドキドキでいっぱいいっぱいだった。
「あ、あのさ…」
もう離してと、そう言おうとした私の言葉は神崎のこの言葉によって遮られた。
「もしも…
今日お前にそれを言ったとしても、それは嘘になるだろう」
…だから今日は言いたくない。
そう言って神崎は私を抱き締める腕の力を微かに強めた。
ああもう、
こんなの卑怯だ。
「じゃ、じゃあさ
明日…明日なら言ってくれる?」
「……ああ」
その返事は相変わらずそっけなかったけれど、その一言だけで私には十分だった…。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
設定されていません
読み込み中…