「ねぇねぇ、いいでしょ?」
そう言って神崎に縋りつくと、神崎は面倒くさそうな溜め息を吐いた。
「…断る」
「神崎の意地悪…」
きっぱり言い放つ神崎に、私はそう呟いて顔を伏せた。
「……」
「……ぐすっ」
「…泣き真似するな」
「……ちぇっ」
渾身の泣き真似もあっさりばれてしまった。
「神崎のばーか」
そう言って不貞腐れた私はふんとそっぽを向く。
すると神崎はなにをおもったのか、突然私の体を抱き寄せた。
「ちょ…なによ」
「…別に」
いつもの強引な感じとは違う優しいその手つきに、私の心臓はいつも以上にドキドキと高鳴ってしまう。
照れ隠しに可愛くない態度を取る私に、神崎は不機嫌そうに一言呟くだけだった。