…というわけで、今年のエイプリルフールは神崎に昨年のリベンジを果たすことにした。
とはいえ、昨年の経験から私の嘘では神崎に絶対勝てないと悟ったので、
今年のエイプリルフールは精神的に追い込んでみることに決めた。
「神崎は、私のこと好き?」
「なんだ…薮から棒に…」
案の定、神崎は私の言葉に訝し気に眉をひそめる。
…ここまでの反応は予想通り。
神崎という男は、好きと聞かれて素直に好きと口にするような真似はしないのだ。
「ねぇ好き?」
「…うるさい」
「答えてよー」
私の言葉に神崎はぷいっとそっぽを向いて無視をする。
「もう、言ってくれてもいいじゃん。
今日はエイプリルフールなんだよ?嘘でもいいから好きって言ってよ」
…そう。今年のエイプリルフールは、
普段甘い言葉を吐かない神崎に、嘘でも言いから好きと言わせる作戦なのだ。