「えっ!? ちょっと、神崎!?」
私も慌てて神崎の後を追いかける。
追い付いた後ろ姿に傘をさす。
「待ってってば!!神崎」
大声を上げれば、ぴたりと足を止めた。
「なんだ」
「なんだはこっちの台詞!!
神崎の傘でしょ!?」
「貸してやるから明日返せ」
「そうじゃなくて!」
頭いいくせに、検討外れな返事。
わかってるくせに…
「あーもう!面倒くさい!!
意地張ってごめん!!駅まで入れて下さい!」
そうまくし立てると神崎は、おかしかったのか肩を震わせて笑う。
「わっ、笑うな!!」
結局、駅まで神崎と相合い傘。
梅雨にはちょっと早い6月手前の放課後の思い出。
私が神崎と付き合う前の話。
end