「じゃあ私の第一印象ってどんなだった?」
そう尋ね返すと、神崎は数秒黙ってから
「可愛い」
「は?」
「可愛いって思った」
…なんてことを言った。
神崎の口から可愛いって…かわいいって…
「完ぺき嘘じゃん!!」
「大塚ちゃんうるさいよ」
思わず大声でツッコミを入れると、クラスの役員決め進行中の成瀬君に注意された。
他のクラスメイトたちにはくすくす笑われるし。恥ずかしい…。
「神崎のばか…」
八つ当たり気味に小さく呟く。
「ねぇ、本当はなんて思ったの?」
「…同じことを二回も言う気はない」
「え」
それって…
本当に本当なわけ…!?
「えっ、ちょっ、神崎!!
もう一回!もう一回だけ言って!!」
「大塚ちゃん!!うるさいって!!」
結局その後神崎はなにも言ってくれず、
神崎からの「可愛い」という奇跡の一言を彼の口から聞くことは出来なかったのだった。
end