爪先の愛撫



心臓までうるさくなりだした時、彼はふっと顔をほころばせ、隣に座った。

動けずにいたわたしの頬をなで、またちゅう、と音をたててキスされた。

「好き。」

ふわっと体が軽くなるわたしって、かなり単純。

だんだんと張ってた意地もどうでもよくなって、体の力が抜けていったから言葉もするりと出た。

「引っ掻いて、ごめんなさい」

「よくはないけど、まあ、キスマークみたいなもんだよね。君なりの」

「ちがっ……わなくもなかったりするけどさ」

「日本語、ちゃんと使おうね」
「日本語って、奥が深いの」
「……」
「……」


お互いじぃ、と見つめあう。


―――プッ、


どちらかともなく笑いだした。