しばらくすると

悠斗おススメの

ハンバーグランチが
運ばれて来た。


「わぁ…美味しそう!」


「だろっ?」



さっそく

熱々のハンバーグを
頬張りながら

彼が言った。


「真優花にも…

夢とか…ある?」


「夢…?」


あたしは

付け合わせの
ブロッコリーを

フォークでつっ突きながら
小さく首を振る。


「特に…無いかな…?

夢って言うか
願いなら…あるかも…」


「願い?」



「あたし…目立つ事とか
人から注目されるような事

すっごく…苦手なの。


だから、できるだけ
自分の存在感をなくして

いつでも、ひっそりと


なるべく人と関わらずに
生きて行きたい。


こんなのって…
変かもしれないけど

それが、あたしの望み。


ふふっ…

あたしって…
インキャラだよねーっ?」



話しながら

あたしの手に握られた
フォークは

お皿の上の
ブロッコリーを

コロコロと

転がし続けた…



話しの最後に


ザクッと突き刺した

ブロッコリーを
口に放り込み

笑ってみせる。


暗いムードになるのは
避けたかったから…



「真優花…?」


「んっ?」


口を
モグモグと動かしながら

彼の顔を見ると…


その表情は
どこか、悲しげだった。


「本当に…
それが、幸せだと思う?

真優花は
人が…嫌いなわけ?」


「そっ…そうかも…

人間って、すごく残酷だし

何考えてるかわかんないし

なんか、怖いもん…」



彼は…しばらく黙った後


突然

フッと優しく微笑むと


テーブルに
少し前のめりになった。


「…俺も、怖い?」


あたしは、一瞬驚いて…

それから、フルフルと
首を振った。