テーブルに座ったまま
そわそわと
こっちを見ている
お父さん…
お母さんは
あたしを見つめながら…
サラダ用のお皿の上に
食べ切れない程の
プチトマトを
盛り付けていた…
「お母さん…
誰がそんなにプチトマト
ばっかり食べるの?」
『あら…?』
「お父さん…
言いたい事あるんなら…
ハッキリ言って…?」
『お…おお…
い…今のは…
例の…彼氏か?』
「うん…和野くんだよ」
和野くんの事は…
すでに両親に話していた。
隠し事をしない事…
それが
この家の決まりだから…
『そうか…
彼…なんだって?』
「今日…
和野くんのお母さんの
お見舞いに行きたいの…
行ってもいいでしょ?」
『も…もちろんいいさ。
それなら…
父さんが送って行くよ。』
「えー」
『それは…嫌か?』
「んー嫌じゃないよっ
ありがとう…」
ホントは…
和野くんのお父さんが
車で迎えに来てくれるって言ってたんだけど…
お父さんは、絶対あたしを
送って行くって思ってた…
その方が安心できるから…
過去…
あたしの恋愛のせいで
引っ越しまで
することになって
両親には、たくさん
心配や迷惑をかけた…
だから、あたしは
これ以上、両親に
心配かけるわけには
いかないんだ…
『じゃあ…お母さんも
一緒に行こうかな?』
「え?」
『あちらのご家族に
ご挨拶しておきたいし…
いいわよね?』
結局…
彼氏のお母さんの
お見舞いに
両親がついて来るという
奇妙な展開に
なってしまった…
