『何なの、こいつ…

友達が来た途端
強気になってさ…

超ムカつくんだけどっ!』


サトって子の暴言は…
収まりそうになかった。


『サト…もういいから…』

アズって子が
少し疲れたように言う。


『うん、もう止めよ?

これ以上は…
グッチーにも悪いしさ…』

三崎さんも、ちらちらと
りっちゃんの方を見ながら
言った。


グッチーって、多分
坂口くんの事だよね…?



『…もう帰る!』




サトって子は、舌打ちして

乱暴に鞄を手にすると

教室を出て行った。



『あ…あの…ごめんね。
なんか…変な感じになって

…ホントごめん…

じゃ、またねっ!』


三崎さんは
早口で言い終えると…

サトって子を追うように

教室を出て行く…




『あれ?アズ…帰ろ?』


アズって子が
追ってこないのに気付いて

三崎さんがドアから
覗き込んだ。



アズって子は、鞄を持ち

ゆっくりと歩き始めて…

あたしの真横に来ると

立ち止まった。



『ウチだって
真剣に好きだし…

あきらめるつもりなんて
全然無いから。


それだけ…覚えておいて』


呟くように、そう言うと


教室を出て行った。





『真優花…

うちらも、帰ろっか…?』


りっちゃんは、繋いだ手を

少し上げて…
軽く揺らしながら言った。


「うん…
ごめんね、りっちゃん…

あたしのせいで
嫌な気分にさせちゃって」


『なに言ってんの?
真優花のせいじゃ
ないじゃん!!』


「でも…」


『いい?真優花…
あの子達の言った事なんて
気にしちゃダメだからね。

真優花は、和野の事だけ
考えてればいいんだから。

わかった…?』


「ん…」





それから…

坂口くんに忘れ物を
届けると


あたし達は

帰りに時々行く
ファーストフードのお店に
寄ることにした…