「…ごめん」
「ん?」
「和野くんの気持ち…
無視して作っても
意味無いよね…
自分の気持ちばかり
押しつけようとして…
ごめんね…」
「いや…
俺は、本当に嬉しいよ。
真優花の気持ち…
でも……
少し考えさせてくれる?」
よくわからないけど…
何か…色々あるのかな…?
「わかった…じゃあ…
とりあえず一度だけ
あたしが作ったお弁当…
食べてくれる?」
「うん。
真優花が、無理して
作るんじゃないなら…
食べさせてもらうよ。」
「無理なんて…全然だよ!
じゃあ、
月曜日に作って来るね!
良かったーっ
なんか…嬉しいなっ」
「普通…嬉しいのは
俺の方だし!」
照れてる彼の笑顔は
やっぱりすごく…かわいい
「あっ、でも…
あんまり期待しないでね」
「んな事言っても…
当然、期待してるけど?」
「えーやだ!
和野くんの料理の方が
美味しかったら…
あたし、どーしよーっ?」
ひとりごとのように
呟くあたしを
彼は笑って見ていた…
「真優花…あのさ…」
彼が
何か言おうとしたけど
鳴り響いた予鈴に
遮られた…
「…なぁに?
何て言おうとしたの?」
「いや…何でもない。
もう教室に戻ろ?」
そう言って
階段を降り始めた彼の
後について
あたしも階段を降りた。
「ねぇ、何なの?
気になるよー」
「んーまた今度、話すよ。
それより
今日は委員会だから…また
プリント書いてくれる?」
「うん…いいけど…」
すっきりしないまま
教室に入ろうとした時
誰かの視線を
感じたような気がして
振り向いた。
まだ、ざわつく廊下には
何人かの生徒がいたけど…
こっちを見てる人は
いないみたい…
気のせい…だよね?
