「あの…」


「いいよなー

真優花の手料理とか…
食べてみたいなー」


「え?」


…そんな風に言われると
ドキドキしちゃうよ…


真っ赤になった

あたしの顔を見て


彼は笑いながら言った。


「なーんてなっ!

いつか…食べさせてよ。
楽しみにしてるからさっ」


その言葉を聞いて

何故か焦ったあたしは


無意識に口を開いていた…


「お…」


「お?」


「お弁当っ」


「…は?」


でも…緊張しすぎて

言葉が
上手くまとまらない。


…不思議そうな表情の彼。


あたしは深呼吸して
もう一度、話し始めた。


「あ…あのねっ…
もし…和野くんが
嫌じゃなかったら…

あたしに、お弁当…
作らせてほしいの。

…だめ…かな?」


ドキドキしながら
やっとそれだけ言えた…



あたしの話を聞いて
目を丸くした彼は

顔を赤らめて

少し…
困ったように笑っていた。


「…ちょっと待ってよ。

真優花の気持ちは
すっげー嬉しいけどさ…

それはちょっと
まずいってゆーか…

そんなことまでしてもらう
わけにはいかないよ。」


「どうして?

あたし…和野くんの
彼女…なんだよね?」


「真優花は
俺の大事な…彼女だよ?

でも、それとこれとは
話が別だし…」


「別って…なに…?

いいもん…
ダメって言われても
勝手に作るもん…」


「真優花…」


思わず
ムキになってしまった
あたしに


彼は

困ったように

フーッと
ため息をついた…


それを見たあたしは

突然、不安に襲われる。


もしかして、和野くん


あきれちゃったかな…?


それとも


怒ってる…?