恋愛事情



和野くんと付き合い始めて

2週間が過ぎた。



彼は

お母さんの病院通いと

バイトで


毎日忙しそうで…


学校以外で会うことは
ほとんど無かった。



一度だけ

果倫ちゃんに会う為

りっちゃん達と一緒に
お家にお邪魔したけど

その日も彼は、すぐに
バイトに行って…

結局ほとんど一緒には
いられなかった。



バイトの時間によっては

放課後に少しだけ一緒に
過ごす時もあったけど


そんな嬉しい時間は

あっという間に
過ぎてしまう…



そんなあたし達が

唯一

2人きりになれるのは


お昼休みの

屋上で過ごす

わずかな時間だけだった…


それでも

彼の優しさに触れられる
この時間が

あたしは大好きだったし


彼との距離も

確実に近付いたような
気がしていた。




今日は…

朝から雨で

外には出られないから


屋上の手前の階段室で

過ごすことにした…



「和野くんって

お昼ご飯…
いつも何食べてるの?」


「んー…学食とかパンとか
たまーに、弁当…?」


「お弁当…
自分で作るの?」


彼は、少し照れたように
笑いながら答えた。


「弁当つっても…
晩飯の残りとか、適当に
詰め込むだけだし。

学食ばっかりだと、
金かかるしさー」


「そっか…」


「真優花は毎日弁当だろ?
自分で作るの?」


「うん!
お弁当は、いつもあたしが
3人分作るの。

まぁ…うちも、夕食の
残り物が多いけどねー」


実は…お昼ご飯の話を
始めたのには

わけがあった。


和野くんの為に

お弁当を作りたいと
思っていたから…



数日前から

ずっと考えていたのに


余計なお世話だと
思われるのが怖くて…


なかなか言い出せずに
いたんだ…


今日こそ言おう


そう決意したあたしは


そわそわしながら


この話を始めたんだ…