恋愛事情



「…寒くない?」


「んー大丈夫っ」


「俺、時々ここ来て1人で
ボーッとしてるんだ…」



和野くんは、端の方にある
段差に腰掛けた


あたしも、少し離れて
同じ段差に座った


「あたしも…たまには
ボーッと過ごしたいな…」


「ここ来れば?
誰にも邪魔されないし

実は、寝転ぶと周りからも見えないんだよねっ」


「へぇ…いいねーっ
制服、汚れそうだけど…


…でも、ここ来る為には
もっと体力つけて…

腕力鍛えなきゃだねっ」


あたしは舌を出して
笑いながら言った



「そんなことしなくても
また俺が上げてやるのに」


和野くんも笑いながら
そう言った


「そっかぁ…ふふっ…

………え…?」



彼が、あまりにも
さらりと言ったので


深く考えずに笑ったけど…

それって…どういう意味…
なんだろ…?



チラリと彼を見ると

その横顔は…


驚くほど真っ赤で

なんだか困惑したような
表情に変わっていた…


しばらくの沈黙の後…


「俺……
最近、なんか変なんだ…」


「え…?」


和野くんは、照れたように
ふいっと顔を横に向け


遠くを見つめた…


「俺…相澤さんといると


今まで感じた事ないような

色んな感情が

湧いて来るんだ…」


「た…例えば…?」


彼は…パッと振り向き

あたしの顔を見た


そして、顔を赤らめたまま

少し落ち着かない様子で
話し始めた…


「そうだなー…

上手く…言えないけど…

相澤さんと一緒にいると…
なんか…優しくて
あったかい気持ちになる…

でも…時々すごく…
なんつーか、寂しそうで…
守ってあげたくなるし


あと…たまに
意地張ってるっ…つーか

…妙に強がってるとことか
おもしれー…
いや、可愛いなー…って
思うんだよね…」



そんな、和野くんの話しを
聞いてるうちに…


あたしの顔も

どんどん


赤くなっていった…