恋愛事情



屋上では


離れた場所に

何人かの生徒の姿が
見えたけど…


誰もあたし達のことなんて

気付いていないみたい…



「あたし…ここから屋上に

出たの初めてだ…」


「へぇ…俺は
こっちばっかりだなー

あんま人が来ないのが
魅力なんだよねっ」


そう言うと

風の中を


スタスタと歩き始めた



あたしはヒラヒラ揺れる

スカートを押さえながら


小走りで

その後をついて行く



「この上なんだけど…

相澤さん…昇れる?」



和野くんが指差したのは


屋上の端の方にある

白い四角い建物の上…


その側面に付いている


鉄製のハシゴを昇って

上にあがるらしい…



「スカートだしなー
やっぱ無理かな…?」



和野くんは
心配そうに、あたしを見た







坂口くんの策略に


まんまとハメられたのは



ちょっと悔しい気も

するけど




せっかく和野くんが


とっておきの場所



案内してくれるって
言うんだから


意地でも行かなきゃ

絶対後悔しちゃうよ…